臓器・組織レベルの影響

(R4.20.21, R3.8.10.11)

組織・臓器名閾線量
(Gy)
耐容線量 
TD5/5(Gy)
リンパ球0.25 
★一時不妊(男)0.15 
★永久不妊(男)3.5~65~15
一時不妊(女)0.65~1.5 
永久不妊(女)2.5~6 2~3
腎(腎硬化) 23
肝(肝障害・腹水) 25
小腸(潰瘍・狭窄)10以上45
皮膚(脱毛)3 
皮膚(紅斑・色素沈着)3~6 
皮膚(潰瘍形成)10~ 
白内障(一回照射)5 
白内障(慢性被曝)810
肺(肺炎・肺線維症)6~817.5(全肺)~45(1/3肺),
骨 成長阻止(幼児) 10(幼児)
 壊死・骨折(成人) 60(成人)
★骨髄 造血機能低下0.5 

 

 急性反応
(2~3週間程度で発生)
晩発障害
(数ヶ月~数年で発生)
全身障害放射性宿酔発がん,成長阻害,急性白血病
消化器系障害〇〇炎,下痢唾液分泌障害,潰瘍,直腸出血
皮膚障害紅斑,脱毛,皮膚炎色素沈着,萎縮,皮膚がん
目の障害結膜炎,角膜炎白内障,角膜潰瘍
血液障害白血球減少再生不良性貧血,白血病
骨障害骨髄障害成長阻害,骨壊死,白血病,骨髄症
脳・神経障害浮腫,脳圧亢進壊死,萎縮,脊髄症
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耐用線量と閾線量

 閾線量:これを超えるとその障害が起こりうる
 耐用線量:TD5/5やTD50/5などが用いられる

*TD5/5
5年間で5%に副作用を生ずる線量

*必要線量が多い障害ほど潜伏期間が短い

*大まかな臓器・組織の放射線感受性(感受性が高い方から) 
(R3.4)
 造血系→生殖器系消化器系→表皮,眼→その他(肺,肝臓,腎臓,甲状腺)→支持系→神経

 

・精原細胞

(R2.17,R1.27)
 線量率効果なし
 分裂過程:精原細胞精母細胞精細胞精子
 感受性:後期精原細胞が最高
 突然変異誘発率:精細胞>精子=精母細胞>精原細胞

・小腸

(R1.32)
 絨毛の付け根にあるクリプト(腺窩)の感受性が高い

・皮膚

(R1.24)
 表皮最下層の基底細胞層が高感受性(表面から平均70µm)

・肺(肺炎・肺線維症)

 (R1.23)
 放射性肺炎:潜伏期1~3ヶ月
 放射性肺炎は急性反応と晩発障害の中間程度(数週間~数ヶ月)で発症する
 その数年後に肺繊維症へ移行することもある

・甲状腺

 頭部白癬のX線治療によって甲状腺がんの増加がみられた
 若いほど過剰相対リスクが高い

・水晶体

 (R1.22)
 ソウル声明(2011)において白内障の閾線量(急性も慢性も)は0.5Gyとされた
 水晶体混濁の閾値は0.5Gy程度で, 高線量の場合1年ほどで発症

*白内障
:加齢,糖尿病,放射線などによって構成たんぱく質が変質し,水晶体混濁が起こり,視力障害が認められるような状態になったもの

 

血球の被ばく

(R4.3, R2.5)
・赤血球
 最も感受性が低い
 一ヶ月程度で最低値をとる

・白血球
 リンパ球★
:最も感受性が高い,1日程度で数が最低まで減少する
 感受性:Bリンパ(骨由来)Tリンパ(胸腺由来)

 顆粒球(好中球,好酸球,塩基球)
一過性の増加が見られる
 リンパ球の次に感受性が高い

・血小板
 2週間程度で最低値

・赤血球
 最も感受性が低い,一ヶ月程度で最低値をとる

 

全身被ばく

(R3.3, R2.3.4,R1.5)
・骨髄死
 被ばく線量:3~5 Gy   
 生存日数:30~60
 白血球減少による抵抗力の低下
 血小板減少による出血性傾向の増大
 LD50/(60):半致死線量(人間)が3~5Gy
 LD100/(60)は7~10Gy程度


・腸管死

 被ばく線量:5~15Gy   
 生存日数:10~20
 小腸細胞死による脱水,電解質平衡失調,腸内細菌感染
 生存期間が線量に依存しない(線量不依存域)
 感度:小腸十二指腸大腸食道


・中枢神経死

 被ばく線量:15 Gy以上   
 生存日数:1~5

 

急性放射線症

(R4.4, R3.5, R2.3,R1.4)
 被ばく線量:1~8Gy
・前駆期
 放射性宿酔発熱,初期紅斑,口腔粘膜の発赤など48時間以内に起こる症状
 4Gy以上で頭痛,6Gy以上で下痢などの症状もある

*放射性宿酔

消化管症状(嘔吐,下痢),中枢神経症状(めまい,意識障害)

・潜伏期
 線量増加に伴い短くなる

・発症期

・回復期

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