(R4.9.10, R3.10, R2.9.29(化学),R1.9)
コッククロフトワルトン型加速器
直流電圧形加速器
直流高電圧を作るための多段の倍電圧回路で交流を整流しながら作った直流電圧によって高電圧を電極に与え,水素イオン(陽子)を加速する
ファン・デ・グラフ型加速器
球状の高圧電極のなかの滑車と下端の滑車の間にあるベルトにコロナ放電で正電荷を与え,その正電荷を上方の電極内に運び込み高圧電極表面に蓄えることによって高電圧を発生させ,イオン源からの荷電粒子を加速する
線形加速器(リニアック)
現在の放射線治療のスタンダード
電子銃やイオン源からの荷電粒子を高周波電場で直線的に加速する
・加速管
荷電粒子をマイクロ波で加速
内部は真空で,銅によって作られ,一定の出力を持つ
周波数帯域を変えると,加速管の長さを変える必要がある
・高周波発信器(マイクロ波発振管)
マイクロ波を加速管に供給する
ベータトロン
X線と電子線を発生する(電子線治療に最適)
・加速管
: ドーナツ管
電磁石で真空管の加速管(ドーナツ管)をはさみ,電子は磁場の変化により円運動で加速される
・交流磁場により発生する電界で,円運動(軌道半径一定)と加速を行う電子専用加速器
・加速エネルギーは4~30MeV
マイクロトロン
直流磁場(一定)で電子を円運動させて加速する
・円軌道半径は増大
・X線・電子線の治療に用いる
サイクロトロン
ディー(dee)電極の間に高周波電圧をかけて,直流磁場(強度一定)を発生させ,荷電粒子(主に陽子)を加速する
・高周波電圧の周波数(周波数は不変)により半周ごとに極性が変わり,回転軌道半径が増大しながら加速される
・陽子や重荷電粒子の加速に適する(電子には不適)
・AVFサイクロトロン
:強収束の原理を用いている
*サイクロトロンに関する物理式
・ローレンツ力(電荷q×磁束密度B×速度v)
=遠心力(質量m×速度v2÷回転半径r)
回転半径rを一定に保ちつつ,磁束密度を変化させて,速度を上げる
シンクロトロン
炭素線治療など重粒子線を用いた放射線治療に用いられる
・装置が大型 (HIMAC, Spring 8)
・直線加速器などで数10MeVに加速した粒子を入射させる
・偏向電磁石に直流電流をかけ,直流磁場(一定ではない)を発生させ,その磁束密度を増大させて粒子の軌道半径を一定に保つ
・電極部(加速空洞)のみで加速される(加速エネルギーは可変)
コメント
非常によくまとまっていてとても参考になります。
失礼ながら、書き方について2つ気になる所があります。
1つ目は、ファンデグラフ型加速器に型をつけるなら、コッククロフトワルトン加速器もコッククロフトワルトン型加速器と明記した方が良いかもしれません。
2つ目は、線形加速器の加速器の説明の三行目の最後が「〜加速器の長さを変え必要がある」と書いてありますが「加速器の長さを変える必要がある」の方が正しい書き方かと思います。
ご指摘ありがとうございます
訂正させて頂きました