中性子
(R4.3.4, R3.6.22, R2.6.23)
電荷をもたない間接電離放射線
→主に原子核と相互作用を起こす
・核スピン量子数:1/2
・β-壊変をする(半減期10分)
・エネルギーによる分類
エネルギー | 名前 | 主な反応 |
~0.025eV | 熱中性子 | 中性子捕獲反応 |
0.1eV~1keV | 熱外中性子 | |
0.1MeV | 速中性子 | 散乱 |
中性子と物質の相互作用
・散乱反応
1,弾性散乱
(R3.12.23.31, R2.24,R1.22)
反応の前後で運動量が保存される反応
反跳エネルギーE
En:中性子のエネルギー
M:原子核の質量
m:中性子の質量
*原子の質量が小さい
→反跳エネルギーが大きい
→水素で最も減速させられる(ビリヤードの法則)
2,非弾性散乱
運動エネルギーの一部が反応原子核の励起に使われる反応
・吸収反応
(R2.10)
1,放射捕獲反応
原子核が励起され,γ線を放出する
中性子は電荷を持たないため,クーロン作用を受けず,他の反応に比べて,低エネルギーで核に入れる
*中性子の結合エネルギー:約8MeV
→捕獲反応は発熱反応
*中性子捕獲反応断面積は中性子速度に反比例する
*特定のエネルギーでは共鳴吸収がある
2,荷電粒子放出反応
軽い原子核では中性子を吸収し,荷電粒子を放出する反応がある
3,核分裂反応
235U,239Pu,233Uなどの重い原子核で中性子が吸収されて起こる反応
・核分裂中性子
(R3.31)
252Cfの自発核分裂などで放出される
連続エネルギー分布(マクスウェルボルツマン分布)をもつ
平均エネルギーは約2MeV
中性子の測定
・熱中性子の検出
(R3.12, R2.28)
(1)吸収反応を利用したもの
[ 3He(n,p)3H ]
[ 6Li(n,α)3He ]
[ 10B(n,α)7Li ]
[ 14N(n,p)14C ]
*減速型線量当量計(レムカウンタ)
熱中性子検出器をポリエチレン製減速材で覆ったもので,線量当量値が直読みできる
①BF3比例計数管:ロングカウンタ
②3He比例計数管:Hurst型比例計数管
③LiIシンチレータ
(2)核分裂を利用したもの
[ 235U(n,f) ]
*核分裂計数管
(R1.27)
円筒状の電極に90%濃縮の235U3O8を薄く塗布してArを封入したもので,原子炉の中性子測定に用いられる
パルスが大きく波高弁別が容易で,エネルギースペクトルは測定できず,閾値設定で中性子のみの検出が可能
(3)放射化を利用したもの
[ 115In(n,γ) ]
[ 165Dy(n,γ) ]
[ 197Au(n,γ) :金箔検出器 ]
・高速中性子の検出
(R4.21)
(1)反跳陽子を利用したもの 1H(n,n`)
[プラスチックシンチレータ]
[有機液体シンチレータ]
[水素ガスやメタンガスの比例計数管]
(2)放射化を利用したもの
[ 32S(n,p)32P ]
[ 27Al(n,α)24Na ]
(3)半導体を利用したもの
[ポリエチレンラジエータ付Si半導体検出器]
(4)核分裂を利用したもの
[ 238U(n,f)]
中性子のエネルギースペクトル測定
(R2.30(物理))
(1)減速材を用いる方法
球形減速材付熱中性子検出器(ボナー球検出器)
(2)シンチレーターを用いる方法
液体シンチレータ:反跳原子核の検出
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