被ばく線量の算定
(R3.3, R1.6)
被ばく線量[μSv]
=実効線量率定数[μSv・m2・MBq-1・h-1]×放射能[MBq]×時間[h]÷距離^2[m2]
外部被ばくによる実行線量算定
・均等被ばくによる実効線量算定
男子は胸部,女子は腹部の1cm線量当量
・不均等被ばくによる実効線量の算定
HEE =0.08Ha+0.44Hb+0.45Hc+0.03Hm
Ha:頭頚部における1cm線量当量
Hb:胸部・上腕部における1cm線量当量
Hc:腹部・大腿部における1cm線量当量
Hm:以上のうち最大となるおそれのある部分における1cm線量当量
個人線量計
(R3.2)
原則として男は胸部,女子は腹部に装着する
プロテクタ使用時のような不均一被ばくが考えられる場合,内側と外側に装着する
*外側
:最も多く被ばくすると考えられる部位で,頭頚部用ガラスバッチや指用のリングバッチなどがある
*リングバッチ
:指に付ける個人線量計で皮膚(70µm線量当量)の被ばくを測定する
* 鉛プロテクタ
:多くは鉛製のエプロン型で,
甲状腺防護専用のネックガードや,
鉛入りグラス製の水晶体防護グラスもある
・熱蛍光線量計(TLD)
(R5.23(物理), R4.24(物理), R4.30(化学))
測定対象:光子/β/熱中性子
素子:LiF:Mg,Mg2SiO4:Tbなど
読取方法:200℃前後に加熱,熱的励起
繰り返し読取:不可能
繰り返し利用:可能,アニーリング(加熱)
感度:高い(素子による)(1µSv~1Sv)
フェーディング:小
特徴:グローカーブ(加熱温度と蛍光量の関係)
機械的刺激に弱い(トリボルミネセンス)
・光刺激線量計(OSL)
測定対象:光子/β
素子:αAl2O3:C
読取方法:可視光(緑)の照射,青色に発光する
繰り返し読取:可能
繰り返し利用:可能,アニーリング(可視光)
感度:高い(0.01mSv~10Sv)
フェーディング:極小
特徴:CR-39と組み合わせて熱・高速中性子の測定が可能
直線性が良いため,光子とβの分離が可能
化学的に安定で湿度・温度の影響を受けない
・蛍光ガラス線量計(RPL)
測定対象:光子/β
素子:銀活性リン酸塩ガラス
読取方法:紫外線レーザの照射,オレンジ色に発光する
繰り返し読取:可能
繰り返し利用:可能,アニーリング(加熱),400℃前後に加熱
感度:高い(0.01mSv~10Sv)
フェーディング:極小
特徴:CR-39と組み合わせて熱・高速中性子の測定が可能
素子間のばらつきが少ない
いくつかの金属フィルタを用いて固有のエネルギー依存性の補償をするものもある
*ラジオフォトルミネセンス現象
:照射により生じた電離電子,正孔が銀イオンに捕獲されて蛍光中心が形成され,これに紫外線を照射すると励起オレンジ色に発色する現象
・ポケット線量計
測定対象:光子のみ
素子:シリコン半導体の電離作用を利用
読取方法:値が直で読める
繰り返し読取:不可能
繰り返し利用:可能
感度:高い(1µSv~1Sv)
フェーディング:極大
特徴:エネルギー依存性:小
短い期間(一日程度)の積算線量
→一時立入に使用
取り扱いが容易で値を直に読み取れる
・フィルムバッチ
測定対象:光子/β/α/速・熱中性子
素子:銀粒子
読取方法:濃度計
繰り返し読取:可能
繰り返し利用:不可能
感度:低い
フェーディング:大
特徴:方向依存性:大,
温度依存性:大
取り扱いが容易
*この他に,半導体やシンチレータを利用した個人被曝線量計も存在する
内部被ばくモニタリング
(R5.6, R4.5, R3.5)
・内部被ばくの恐れがある場合は遅滞なく測定しなければならない
内部被ばく実効線量
=放射性物質摂取量(Bq)×実効線量係数(Sv/Bq)
体外計測法 | バイオアッセイ法 | 空気放射性物質濃度からの算定法 | |
摂取量 | =放射能量÷残留率 | =1日当たりの排泄量÷排泄量 | |
測定 対象 核種 |
γ線 「60Co」「137Cs」 「131I」「54Mn」 |
α,β,γ線 「238U」「235U」 「239Pu」「90Sr」「3H」 |
測定器が適切ならば制限なし |
測定 装置等 |
ホールボディカウンタ (肺モニタを含む) |
分析設備・機器 測定装置 |
空気サンプリング装置 ダストモニタ |
測定 評価 |
放射性物質の体内量を 直接測定できる |
3H等を除き,化学分析走査に 時間を要する |
空気濃度から個人摂取量 を推定すると不確定要素が多い |
被検者 の協力 |
短時間測定だが, 被検者を拘束する |
排泄物試料摂取に協力が必要 | 必要ない |
性能 | 高感度検出器と 十分な遮蔽が必要 |
微量放射性物質の検出が可能 | 濃度の精度は良いが 摂取量の精度は低い |
線量 評価特徴 |
体内分布,時間的変化の 追跡調査も可能 |
体内汚染があったことの 確実な情報を得られる |
濃度と摂取量の倍数を 一義的に決定しにくい |
人手 の必要 |
中 | 中 | 小 |
評価 強度 |
高 | 中 | 低 |
法令における人の測定に関してはこちら↓
「対策ノート:義務(測定-健康診断-緊急措置)」
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