2021-10

物理学

加速器

(R4.9.10, R3.10, R2.9.29(化学),R1.9) コッククロフトワルトン型加速器  直流電圧形加速器  直流高電圧を作るための多段の倍電圧回路で交流を整流しながら作った直流電圧によって高電圧を電極に与え,水素イオン(陽子)を加速する ファン・デ・グラフ型加速器  球状の高圧電極のなかの滑車と下端の滑車の間にあるベルトにコロナ放電で正電荷を与え,その正電荷を上方の電極内に運び込み高圧電極表面に蓄えることによって高電圧を発生させ,イオン源からの荷電粒子を加速する 線形加速器(リニアック)  現在の放射線治療のスタンダード  電子銃やイオン源からの荷電粒子を高周波電場で直線的に加速する ・加速管  荷電粒子をマイクロ波で加速  内部は真空で,銅によって作られ,一定の出力を持つ  周波数帯域を変えると,加速管の長さを変える必要がある ・高周波発信器(マイクロ波発振管)  マイクロ波を加速管に供給する ベータトロン  X線と電子線を発生する(電子線治療に最適) ・加速管 : ドーナツ管  電磁石で真空管の加速管(ドーナツ管)をはさみ,電子は磁場の変化により円運動で加速される ...
物理学

荷電粒子と物質の相互作用

相互作用の種類  (R1.14) 相互作用 相互作用の相手 電子のエネルギー 発生するもの 弾性散乱 原子(核) 不変 なし 衝突損失 (電離,励起) 軌道電子 減少 特性X線, オージェ電子 放射損失 原子核 減少 制動X線 チェレンコフ効果 原子 減少 青色光 ・弾性散乱  衝突によって相手粒子の内部エネルギーを変化させない散乱 *ラザフォード散乱 :ごくまれな確率で原子核と衝突しておこす大角度の散乱 ・非弾性散乱  衝突によって相手粒子を励起状態にする場合の散乱 ・制動放射 (R3.15)  荷電粒子が原子核の電場により制動を受け,そのエネルギーを光子として放出する現象 ・チェレンコフ放射 (R5.11, R4.14)  荷電粒子が透明な誘電物質中(屈折率n)を通過するとき,物質中での光の速度(c/n)を超えた速度(v)で移動した場合に,分極によって位相が重なり,可視光(青色)が円錐形状に放出される現象  屈折率nの大きい物質で発生する  発生時間が非常に短く,シンチレーションの発生よりも短い *電子の場合 :水中で0.26MeV以上で発生   臨界エネルギー:n(V/C)≧1 ...
物理学

X線の発生

特性X線の発生 特性X線の発生に関してはこちら↓ 「対策ノート:放射性壊変」 制動X線の発生  (R2.14) ・単位時間の発生強度I=K×I×Z×V2 ・制動放射線の発生効率η=K×Z×V[%] *診断領域ではηは1%未満である  K:定数(1.1×10-9)   I:管電流   Z:ターゲットの原子番号   V:管電圧 管電圧と制動放射線の最大エネルギーの関係 ・デュエンハントの法則   加速電子のエネルギーE=e×V    V:X線管電圧[kV]  また,eV = hν = hC / λ 制動X線の強度分布(角度)  ・ゾンマーフェルトの理論式I(θ)  I(θ)=A-sin2θ/(1-βcosθ)6  θ:ターゲットへ入射した電子の進行方向を0°とした角度  入射電子のエネルギーが増加した場合(10MeV以上)  βが1に近づく →θ=0°(前方)の強度が増加  入射電子のエネルギーが減少した場合(30~150keV程度)  βが0に近づく →θ=90°(側方)の強度が増加 X線の線質・線量  (R3.32) ・線量 :管電流,管電圧に影響され,X線の量を表す ・線質 :X線の...
物理学

光子と物質の相互作用

(R4.16, R3.18, R2.16) 相互作用 反応相手 光子のエネルギー 二次電子 トムソン散乱 自由電子 不変 なし レイリー散乱 軌道電子 不変 なし 光電効果 軌道電子 消滅 光電子 コンプトン散乱 自由電子,最外殻電子 散乱 反跳電子 電子対生成 原子核 消滅 原子,陽電子 三電子生成 軌道電子 消滅 原子,陽電子 光核反応 原子核 消滅 なし 弾性散乱 ・光子の波動性を示す反応 ・トムソン散乱  自由電子との相互作用  光子のエネルギーは変化せず,進行方向が変化する ・レイリー散乱(干渉性散乱)  軌道電子との相互作用    光子のエネルギーは変化せず,進行方向が変化する 光電効果  (R5.16, R3.19.20) ・光子のエネルギーEe  Ee=Er‐Eb  Er:光子のエネルギー   Eb:軌道電子のエネルギー ・光電子エネルギー  K殻光電子<L殻光電子 ・吸収端 (R1.4)  光子のエネルギーが各殻の軌道電子放出に必要なエネルギーを上回り,減弱係数が急激に大きくなる場所  エネルギー:L吸収端 < K吸収端  K吸収端のエネルギー :13.6×(Z-1)...
物理学

中性子と物質の相互作用

中性子 (R4.3.4, R3.6.22, R2.6.23)  電荷をもたない間接電離放射線 →主に原子核と相互作用を起こす ・核スピン量子数:1/2 ・β-壊変をする(半減期10分) ・エネルギーによる分類 エネルギー 名前 主な反応 ~0.025eV 熱中性子 中性子捕獲反応 0.1eV~1keV 熱外中性子   0.1MeV 速中性子 散乱 中性子と物質の相互作用 ・散乱反応 1,弾性散乱 (R3.12.23.31, R2.24,R1.22)  反応の前後で運動量が保存される反応  反跳エネルギーE En:中性子のエネルギー M:原子核の質量  m:中性子の質量 *原子の質量が小さい →反跳エネルギーが大きい →水素で最も減速させられる(ビリヤードの法則) 2,非弾性散乱  運動エネルギーの一部が反応原子核の励起に使われる反応 ・吸収反応 (R2.10) 1,放射捕獲反応   原子核が励起され,γ線を放出する  中性子は電荷を持たないため,クーロン作用を受けず,他の反応に比べて,低エネルギーで核に入れる *中性子の結合エネルギー:約8MeV →捕獲反応は発熱反応 *中性子捕獲反応...
物理学

気体の検出器

印加電圧と収集電荷の関係  (R3.27, R1.28) ①再結合領域    ②電離領域 エネルギー測定可能 ③比例領域 エネルギー測定可能 ④境界領域     ⑤GM領域 エネルギー測定不可 ⑥連続放電領域 エネルギー測定不可 電離箱 ・印加電圧 :電離領域 →高線量かつエネルギーの測定ができる  感度は低い ・校正,補正 (R5.28, R4.28) 1,校正定数 2,大気補正係数kTP   kTP=(273+T)/(273+T0)×P0/P  気圧が大,気温が低で電離が多くなる 3,極性効果   円筒型 < 平行平板型  4,イオン再結合   初期再結合はLETに依存する  一般再結合は線量率,印加電圧,電極間隔,電極サイズ,スペクトルに影響される  (2次)電子平衡の利用とその条件(ブラッググレイの空洞原理)  (R4.2(実務), R2.17.31)  以下の条件で電子平衡が成立し,吸収線量が最大となり,近似的に空気衝突カーマと等しくなる ・空洞の大きさ :2次電子(δ線)の飛程より小さい  ・物質壁の厚さ :2次電子(δ線)の飛程より大きい  ・物質壁の質 :γ線の吸収が小...
物理学

固体・液体の検出器

無機シンチレータ 種類 密度 (g/cm3) 最大波長 (nm) 減衰定数 (ns)  相対効率 (%) 用途および特徴 NaI(Tl) 3.6 410 230 100 γ線,潮解性, 高エネルギー分解能 CsI(Tl) 4.5 540 680 45 α線,γ線 CsI(Na) 4.5 420 640 80 α線,γ線,吸湿性 6LiI(Eu) 4.1 470 1400 35 γ線,中性子 BGO 7.1 480 300 10 γ線,高検出効率, 加工が容易 CdWO4 7.9 470 1100 17~20 γ線 ZnS(Ag) 4.1 450 200 130 α線,中性子 ・BaFX:Eu2+(X:Cl,Br,I):イメージングプレート (R5.30, R3.28(化学), R1.25) :放射線のエネルギーを蓄積し,その後の可視光・赤色光の照射(輝尽励起光He-Neレーザ:633nm)により,波長が短く(400nm)放射線量に比例した光量で青紫色に発光する蛍光体  荷電粒子,光子線,中性子線の検出が可能 有機シンチレータ 種類 密度 (g/cm3) 最大波長 (nm) 減衰定数 (...
実務

計数値の統計

計数の統計処理  (R2.2) ・統計的変動(矢印に従い簡略化される)  二項分布 → ポアソン分布 → ガウス分布(正規分布) ・二項分布 ・ポアソン分布 ・ガウス分布(正規分布)  n:計数値  σ:標準偏差  m:平均値  σ:分散 不確かさ  ・Aタイプ評価 :様々な不確かさの成分を,観測値の統計解析つまり標準偏差によって評価すること ・Bタイプ評価 :測定実験データ以外の様々な情報による,標準偏差に相当する大きさの推定 ・標準不確かさ :標準偏差を用いた評価 ・合成標準不確かさ :標準不確かさの二乗の重みつき平均の平方根  感度係数を用いる ・拡張不確かさ :「合成測定標準不確かさ」と「1より大きい定数」との積  包含係数=2(95%)を良く用いる 標準偏差 (R5.2, R4.30(物理), R3.26(物理)) ・計数の標準偏差(σ)  標準偏差σ=√N  N:生の計数(カウント)  N0±σ=68%  N0±2σ=95%  N0±3σ=99.7% ・計数率nとその標準偏差σn  n±σn = N/t ± √N/t  計数率n = N÷t  計数率の標準偏差σn=√N÷t...
実務

放射線防護の基礎

防護量の単位と定義 (R5.12(生物).5, R4.5, R4.28(生物), R3.6, R2.9(生物),R2.10(生物),R2.4.5, R1.5) 名称 単位 定義 線量当量 J・kg-1=Sv =(ある点における吸収線量)×(線質係数) 等価線量 J・kg-1=Sv ある組織・臓器にわたって平均し,線質について加重した吸収線量 =Σ((ある組織・臓器の一点における吸収線量)×(放射線加重係数)) 実効線量 J・kg-1=Sv =Σ((等価線量)×(組織加重係数)) 預託 等価線量   RI摂取後にある期間に与えられる等価線量の時間積分値 期間が不明な場合,成人は50年,子供は摂取時から70年とする 預託 実効線量   等価線量率の代わりに実効線量率をとったもの 摂取した放射能×実効線量係数 *実効線量係数は年齢別に設定されており,年齢に反比例し減少する 実用量の単位と定義 (R1.5) 名称 単位 定義 周辺線量当量 Sv ある一点に全方向から来る放射線を整列・拡張した場にICRU球を置いたとき, 整列場方向に半径上の深さdmmにおいて生ずる線量当量 方向性線量当量 Sv...
実務

放射線に対する防護 / 放射線取扱施設

体外の放射線に対する防護 ・外部被ばく防護の三原則  1,「時間」 :なるべく短く 2,「遮へい」 (R4.4) :線源を囲うように ①γ線・X線の遮蔽  高原子番号物質 ②β線・電子線  低原子番号物質+γ線・X線の遮蔽物質 ③中性子  低原子量物質+高吸収断面積+コンクリート 3,「距離」 :なるべく遠く 体内の放射性物質に対する防護 ・内部被ばく防護の3D2C  (体内への侵入低減のための5原則) 1,Dilute :溶媒や担体の添加による希釈 2,Disperse :換気による分散 3,Decontaminate :フードの使用などによる除去 4,Contain :容器などによる密封 5,Concentrate :線源の保管の集中 除染 (R4.3, R3.3) ・除染処理 :汚染個所を明示し,  汚染個所の外側から中心部へ,  汚染レベルの低い方から高い方へ除染する ・内部被ばく防止のため,湿式除染を行う ・除染剤  中性洗剤・キレート形成剤など化学的に非活性なもの  有機溶媒は使用しない ・粘膜傷口  出血を促して,多量の温流水で洗い流す ・内部被ばくに対する経口薬  放射...
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